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わたしの記録です


by ryot1125

パースからこんにちは (31)

*金襴緞子の結婚衣裳に切に祈る

 娘の家の客間の壁に
結婚衣裳の内掛けが飾ってある。
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わたしは、見る度に自分が結婚式で着た
衣装ではないかと思うことがある。

 昭和35年12月24日
クリスマスイブに、わたしは結婚した。
「まだ、誰も手を通してない衣装よ」
と言われたので決めた。
鶴の刺繍が全体にあり豪華だった。
23歳になったばかりの花嫁だった。
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娘の家の棚を整理していると
見つけたので飾ることにした。
見れば見るほど似ている。

母が亡くなった時
お棺の上に被せて見送ったのも、
同じ色合いの帯だった。
「金襴緞子の帯締めながら」
の曲が流れる中、1年前に亡くなった
父の元へ嫁いで行った。
パースからこんにちは (31)_b0129085_19123953.jpg

娘は「日本へ帰った時買って来たの」
と言ったが……

結婚式後私たちは札幌から京都まで
1ヶ月近く新婚旅行で遊び歩いた。
考えると夫が首にならなかったのが
不思議と言うしかない。

夫は会社を定年後1年間、
若い頃からの夢だったイギリス留学に
出かけて行った。
亡くなる3年前には2人で
3ヶ月間のアメリカヨーロッパを
気侭に旅行した。

初めから終わりまで旅で終わった。
それも皆、夫の命の短さを
示唆していたのかもしれない。
パースからこんにちは (31)_b0129085_1911429.jpg

そんな事どもをこのパースで
思い出している。

この結婚衣装が幸せを呼んで、
娘たちを見守ってほしいと
切に祈るのみである。
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by ryot1125 | 2011-07-29 19:14